そんな動作を少しの戸惑いで許してくれると
私の体を支えてくれる腕に、瞬間、不自然な力がこめられる。
変に感覚があるだけで、妙な現実味を帯びているだけなのに。
こんな時にまで、他のことを思い浮かべることが出来ない。
だって、ココロもカラダも、
このぬくもりが君なんだって、全力で誤解してる。
きっとそうなんだ、今すごく心地いいからだ。
こんなに君のこと考えちゃうのは。
だって、目の前が霞がかってるのに、この腕が誰のものかもわからないのに、
この包まれている感じが、すごくイケナイんだ。
カラダは私が思うよりも正直だ。
この心地よさも似過ぎてて、心に伝う前に反応してる。
私は君が与えてくれた感覚しか知らない。
それに代わるものなんて、わかりっこない。
君以外のぬくもりを知らないなんてことを、今更思い知らされる。
わたし、ばかみたい。
しかも、とんでもないばかみたいだ。
とても優しい腕も、広い胸も、君のものしか知らないなんて。
長い階段を上りきって、不意に柔らかい場所に下ろされると
窓から差し込む月の光が、私たちの影を浮き彫りにしてた。
私を抱えて両手が塞がっていたのに、どうやって扉を開けたんだろう??
離された感覚がなかったから、やっぱり全部足で開けたのかな。
この王子様も、案外粗野なのかもしれない。
そんなどうでもいいことをぼんやり考えていると、
優しい腕のぬくもりと、シーツのひやりとした肌触りのギャップが、私の背中を駆け上がる。
そのぬくもりから離れるのが嫌で、伸ばした腕に力を籠めても、
私の手首が捉えられて、首にまわした手をゆっくり解いてしまわれるだけ。
その気になれば私の手ぐらい、すぐに簡単にほどかれてしまうのに。
月明かりの下で、二つの影はまだ繋がってる。
言葉が私の口を割った。